交通事故で証拠を残すことの重要性
1 交通事故事件と証拠
交通事故の被害者は、加害者に対して損害賠償を請求することができます。
ただし、訴訟では、損害賠償を請求する被害者自身が、損害の発生を立証しなくてはなりません。
交通事故の損害賠償請求は、訴訟に至ることなく、示談が成立することが多いですが、示談交渉の段階でも、相手方保険会社から、証拠が全くない損害についても賠償を受けられることはほとんどありません。
また、示談交渉が難航し、訴訟を提起せざるを得なくなる可能性も想定し、証拠を用意しておく必要があります。
以上の理由から、交通事故ではどのような場面においても、いかに証拠を残すかということが重要となってきます。
2 失念しやすい証拠
証拠を残すことを失念しやすいものとして、交通費に関する証拠があります。
交通事故による負傷の治療のために通院した場合、相当な範囲での交通費を請求することができます。
典型例は、病院まで自家用車で通院した場合のガソリン代や電車・バス等の公共交通機関の運賃です。
ガソリン代は、診療報酬明細書等から通院した事実が認められれば、比較的容易に証明できます。
しかしながら、病院の駐車場代が発生した場合、領収証を残しておかなければ、本当に駐車場を利用したのか、どれくらい料金がかかったのか、証明することができません。
また、通院のために公共交通機関を利用した場合、領収書が存在するとは限らないため、交通系ICカードを利用すると、証拠として残しやすくなります。
この他に、入院に必要なものを売店等で購入した場合も、領収書を残しておかなければ、損害を証明できないおそれがあります。
これらは、交通事故の損害の中では高額のものとはいえませんが、だからこそ失念しやすいものです。
最終的に加害者に請求する際、請求が認められないという結果にならないよう、保存しておくようにしてください。