高次脳機能障害における賠償金の額
1 高次脳機能障害の後遺障害等級
交通事故に遭って高次脳機能障害が残ってしまったという場合、その症状の内容や程度によって、認定される後遺障害等級が異なってきます。
高次脳機能障害について認定される可能性がある等級は、以下の6種類です。
第1級1号
神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
第2級1号
神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
第3級3号
神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
第5級2号
神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
第7級4号
神経系統の機能または精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
第9級10号
神経系統の機能または精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
2 高次脳機能障害が残った場合の賠償金
高次脳機能障害が残った場合は、「後遺障害慰謝料」と、「後遺障害逸失利益」の請求が可能です。
また、高次脳機能障害によって、介護を必要とする状態に至ってしまっている場合は、「将来介護費」や「自宅・車両の改造費」等の損害賠償請求もできる可能性があります。
以下では、「後遺障害慰謝料」と、「後遺障害逸失利益」の内容について解説いたします。
⑴ 後遺障害慰謝料
後遺障害慰謝料とは、後遺障害が残ってしまったことで被った精神的苦痛に対して支払われる賠償金のことを言います。
裁判例においては、後遺障害慰謝料の額は、認定された後遺障害の等級を基準として金額が定められる傾向にあります。
下表は、裁判例における慰謝料の基準の一例です(日弁連交通事故相談センター東京支部発行の「令和3年版損害賠償額算定基準上巻(基準編)」参照)。
後遺障害等級 | 裁判基準の慰謝料額 |
第1級 | 2800万円 |
第2級 | 2370万円 |
第3級 | 1990万円 |
第4級 | 1670万円 |
第5級 | 1400万円 |
第6級 | 1180万円 |
第7級 | 1000万円 |
第8級 | 830万円 |
第9級 | 690万円 |
第10級 | 550万円 |
第11級 | 420万円 |
第12級 | 290万円 |
第13級 | 180万円 |
第14級 | 110万円 |
⑵ 後遺障害逸失利益
後遺障害逸失利益とは、仮に後遺障害が残らなかったとしたら将来受けることができたであろう利益のことを言います。
後遺障害逸失利益は、一般的に、以下の計算式で算出されます。
基礎収入×労働能力を喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
「基礎収入」とは、後遺障害逸失利益の計算をするための基礎となる収入のことを、「労働能力喪失率」とは、後遺障害により労働能力を喪失した割合のことを「労働能力喪失期間」とは、後遺障害により労働能力を喪失した期間のことを意味します。
基礎収入の金額や労働能力喪失率の割合、労働能力喪失期間の長さによって、後遺障害逸失利益の金額は数千万円から数億円にものぼることがありますので、高次脳機能障害を負ってしまった場合には、適切な賠償金を得るためにも、一度弁護士に相談をしてみることをおすすめいたします。
弁護士法人心が高次脳機能障害に対応できる理由 むちうちのお悩みは弁護士へ