お役立ち情報
パート・アルバイトでも労災保険は使える
1 アルバイトも労災保険は使用できる
⑴ 近年では,多様な働き方が認められ,正社員ではなく,パートやアルバイトで働いている人も少なくありません。
しかし,仕事中や通勤中に事故が発生し,ケガをして働けなくなってしまうことがあるのは,正社員でもパート・アルバイトでも変わりありません。
仕事中にケガをしてしまった場合,自分はアルバイトだから,雇い先の福利厚生を受けられないと思っている方もいるようです。
⑵ しかし,労災保険は,正社員に限らず,パートやアルバイトでも使うことが可能です。
労災保険は「労働者」であれば,誰でも使用することができます。
ここでいう「労働者」とは,職業の種類を問わず、事業又は事務所(に 使用される者で、賃金を支払われる者をいいます。
正社員とパート・アルバイトの区別はありません。
2 アルバイト先が加入していなくても労災保険は使える
労災保険は強制加入とされていますが,特に短期のアルバイトなどの場合に,会社が労災保険に加入していないことがあります。
そのような場合でも,労働者には落ち度はないため,労働基準監督署に申請すれば,問題なく労災保険を使うことが可能です。
3 労災保険が使える範囲
労災保険は業務中の事故や通勤中の事故によって,病気やケガを負ってしまった場合に適用されます。
労災保険によって保障される主なものとしては,①療養補償給付,②休業補償給付,③障害補償年金・一時金などがあります。
⑴ 療養補償給付
労働災害によるケガの治療を受ける際に受けることのできる補償です。
労災が指定する医療機関で治療する場合には,窓口での負担なく無料で治療を受けることができます。
指定の医療機関以外で治療した場合にも,その治療にかかった費用について支給を受けることができます。
⑵ 休業補償給付
労働災害によるケガのために働くことができず,勤務先から賃金をもらえないときに受けることのできる補償です。
給付基礎日額(傷病が発生した日の直前3か月間の1日あたりの賃金額)の60%を休業日数に応じて受け取ることができます。
このほか,休業特別支給金として給付基礎日額の20%を休業日数に応じて受け取ることができます。
⑶ 障害補償年金・障害補償一時金
ケガの治療を続けたにもかかわらず障害が残ってしまった場合に,障害の等級に応じて受け取ることができる補償です。
等級は1級から14級まであり,1~7級は年金として,8~14級は一時金として給付を受けることができます。
このほか,障害特別一時金,障害特別年金・一時金を受け取ることが可能です。
4 労災保険を使用するために必要な手続き
労災保険を使用するためには,事業所を管轄する労働基準監督署に必要な書類を提出し,労災であることの認定を受ける必要があります。
申請書類には,会社に記載してもらう欄があるものも少なくありませんので,まずは会社に連絡して,労災を使用したいと伝えて,協力していただけるとスムーズです。
労災保険の申請は,原則としては労働者自身が行うものですが,会社に代行してもらうことも可能です。
5 アルバイト先に労災保険の使用を拒否されたら
⑴ 労災保険の申請書類には,アルバイト先に,ケガをした日時や事故の発生原因及び発生状況等を記載してもらう記入欄があります。
しかし,労災事故の発生を認めたくなかったり,労災に加入していなかったことを隠すために,書類への記入をアルバイト先が拒否することがあります。
なかには,「アルバイトは労災の対象ではない」などと虚偽の説明をして,労災の使用を諦めさせようとするケースもあるようです。
⑵ そのような場合でも,労災保険の使用をあきらめる必要はありません。
アルバイト先が労災の申請を拒否した場合は,診断書などを用意したうえで,アルバイト先から必要事項の記入をしてもらえなかった事情等を申告することで,アルバイト先が記入すべき箇所が空欄のままでも,労災保険の申請をすることができます。