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長時間労働における労災の認定基準(精神障害について)
1 労災認定されるための3要件
長時間労働を原因とする精神障害については、①対象疾病を発病していること、②発病前6か月の間に業務による強い心理的負荷が認められること、③業務以外の心理的負荷及び個体的要因により発病したと認められないことの3つの要件を全て充たして初めて労災認定がなされることになります。
2 要件①~対象疾病を発病していること~
労災の対象となる精神障害の代表的なものとしては、うつ病や急性ストレス反応が挙げられます。
(より具体的には、国際疾病分類第10回修正版(これを「ICD-10」と呼びます。)の第5章「精神および行動の障害」に分類される精神障害であって、認知症や頭部外傷などによる障害およびアルコールや薬物による障害を除いたものが対象となります。)
3 要件②~発病前6か月の間に業務による強い心理的負荷が認められること~
精神障害が労災として認定されるためには、労働基準監督署の調査にて、発病前おおむね6か月の間に起きた業務による出来事について、心理的負荷が「強」と評価されることが必要です。
長時間労働については、
・発病直前の1か月におおむね160時間以上の時間外労働を行った場合
・発病直前の3週間におおむね120時間以上の時間外労働を行った場合
・発病直前の2か月間連続して1月当たりおおむね120時間以上の時間外労働を行った場合
・発病直前の3か月間連続して1月当たりおおむね100時間以上の時間外労働を行った場合
などの出来事が存在すると、心理的負荷が「強」と評価される傾向にあります。
4 要件③~業務以外の心理的負荷及び個体的要因により発病したと認められないこと~
発病した精神障害が、業務以外の心理的負荷によるものや、個々人の個体的な要因を原因とするものであった場合は、労災認定がなされない可能性があります。
業務以外の心理的負荷の例としては、家族との別居、重度の傷病、家族の死亡、天変地異や犯罪に巻き込まれた、住環境が悪化したなどが挙げられ、個々人の個体的な要因の例としては、精神障害の既往がある場合、アルコールや賭博への依存がある場合、性格に特徴的な偏りがある場合などが挙げられます。
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